のび太スレ雑感

※以下、リンク先閲覧注意。2ちゃんねる特有のコミュニケーションや、過激な性表現・差別表現等がみられます
※いつもの「やる夫」シリーズは流れで読んでちょっとピックアップすれば済むんだけど、これはもっと2ちゃんの記事的な、単発の主張のように思えたので自分の意見も含めてちょっとつっこんで記録しておく。

1.のび太「ドラえもん!世界から戦争を根絶することは可能なの?」

「戦争を賛美はしないが肯定はしている」
“ルールを守って戦争しましょう”、というのは鋭い指摘だ。
じゃぁ、「ルールを守っていれば武力衝突は許可されるのか?」という問題には、人の人による制裁=死刑や、裁判の問題にもかかわってくると思う。
これにガンジー先生は何て言ってたんだっけな・・・。ジーザスはやっぱり立ち居地がユダヤだからなー。


ちなみに、兵器廃絶の流れにいくのかという期待は外れ(笑。
でも、せっちゃんが交互に出てくるこの流れがいちばんすきかも。
後半は半笑いで眺めるが吉w

2.のび太「ドラえもん!どうして人は宗教を信じるの?」

「宗教とはエトス(行動様式)である」 ---マックス・ウェーバー
倫理観から宗教が生まれたのか、宗教観から倫理が生まれたのか議論してるひとがいたけど、そうやって鶏と卵の問題にするのはあまりにも「宗教」を特別視しすぎだと思う。
宗教だって行動規範の一つの形態に過ぎないし、いわゆる「日本人独特の聖意識」(穢れとか、神聖な場所には立ち入らないとか)も、私は宗教の一種と言うことが出来ると思っている。

3.のび太「ドラえもん!どうして日本の政治は良くならないの?」

“政治家を含む日本国民が政治とは何かを理解していないことに問題がある”
>>政治とは生活の一形態
なんのために政治を行うか → 衣食住含めた我々の生活を安定させたり、豊かにするため
= 全ては生活という人間の日々の生命活動を如何に恒久的に維持させていくか、というのが政治本来の役割
← 政治を上手く運営していくためには人間同士の相互協力が必要
〜 私たちの衣食住の生活はすべて相互協力で成り立っているから
⇒ 生活の延長線上である政治もまた、国民一人ひとりの協力が必要
← だから今の政治が良くするには国民同士の相互協力が必要だが、しかし国民はその重要性をさほど認識してはいない。


このまとめはホント良くわかって面白かった。
だから小学校の社会科では、そもそも「社会には色んなひとがいて、色んな仕事を分担してるから成り立っているんだよ」ってとこから教えるんだね。
少なくともこれが近代における「政治」の定義の定説なんだろう。
ただ、>>1の問題提起(=国民の非相互協力)が、政治参加(投票率の低下など)の問題を指しているのか、それとももっと社会全体をとらえた時の相互を見渡す視点の欠如を指摘しているのかがわからない。
まぁ、後半の流れを見るかぎり、私の思うような後者ではたぶんないんだろうけど。


以降のスレで、天皇を茶化したりする思い切りのよさには豪気さを感じたけど、でも嫌韓のくだりとか“池沼*1”のくだりを見ていると、けっこう「民族」という概念意識が強いひとのように思えるし、社会科学の見識は広くても哲学までは足つっこんでない感じがする。
しかし、>>1は一体どんな女子だ。今まで会ったことのない人種すぎて興味ある(笑。

4.のび太「ドラえもん!どうして歴史を学ばなくてはならないの?」

歴史を教訓のデーターベースとみなすのはとても社会科学的。私も元はといえばそこから入った。
でも現在の私はこの主張を以って歴史を学ぶ理由の全てとするのは反対。
異文化を異文化として尊重するように、歴史を歴史としてみなさないことは過去に“失礼”。
そもそも、何を「成功」と看做すか?は時代によってまったく違う。
同様に、その時代を生きている人々の感性も重要なものもまったく違う。
だから、過去の教訓だのなんだのをそのままトレースすることはかなり無理がある。
*2


歴史を学ぶっていうか、知ることや学問することは教訓を得て今後に役立てるだとか、そんな単純なことじゃないと思う。
どんなに歴史学やったって近代の次の時代は近代人には予想できないんだよ。*3
ただ、自分がどういう立場におかれていて、周りがどういう立場におかれているのか、それを“自分なりに”より深く知ることが出来るのだと思う。
私にとっては、それが歴史学の意義。


だから、同じ封建社会にあってどんな幕府システムが有効かを探った徳川家康の例を使うのは卑怯。
彼は古代における大和朝廷統一国家建設は参考にしなかった訳だから。
それなら、近代人が参考に出来るのは近代だけ。
民族という概念が有効である現在の私たちにおいて、適応できるのは日本の明治維新以降のわずかな歴史のみになる。
*4


確かに私が近現代日本史をフィールドにしたのは、多少、>>1の主張と同じ理由が混じってる。
でもうちらの世代にしてみれば、あの戦争なんて神話だし、1945年なんて建国記念にも等しい。
昭和20年より前の時代は、同時代と看做すのが正直難しい。
私は出来る限り「過去」ではなく「歴史」としてあの戦争をとらえたいと思っているから。
そもそもそれが「過去の反省」としての平和教育から始まっている時点で、私の中でもあちこちで矛盾を孕んでるけど。
それでも上の世代の後悔や反省や憤りに付き合わされるのはもう無理なんだよ。

5.のび太「ドラえもん!文化とはなんのために存在するの?」

*ここで民族アイデンティティを強調する記述発見
「超速!」で著者が「自国の歴史を知らないということはアイデンティティが無いということだ、そんな奴は尊敬できない」って言われた話を書いてたけど、アイデンティティ?そんなものが本当にあると簡単に信じて良いんですか?と哲学スレにすっかりかぶれた私は言いたい。
最近じゃぁ、就活でもアイデンティティだよ。
だーかーらー、きのうの私ときょうの私は違うんだってば。
ただ、感覚処理機能体としてのハコは存在してると思う、思いたい。
全て与えられた化学物質という想像は、追及すれば出来るけれども、してもあまり意味がないし。
それはそもそも教えられた「アイデンティティ」を疑わないひとと現実を受け入れるレベルが違うだけじゃんって言われたら、まだ返す言葉がないのだけど。
でもやっぱ、それとこれとは同列じゃないと思う。
現実は本当にマトリックスじゃないのかを追求するひとがいてくれることはありがたいけど、私はそれをしない。
それは思考停止じゃない、と思うんだけど上手くいえない。
強いて言うなら、選択、なのかなぁ。思考した上で選んだ選択。
私は現実の中で生きるっていう。
そのことを考え続けて現実の時間を消費するよりは、みっともなくてもあがいた方が楽しいんじゃないかなっていうそれだけ。
とりあえず便利だし、1+1=2と約束することと似ているといえば似ている。


「芸術至上主義」
生活から発生したものの、生活から乖離した余暇によって生まれた“芸術”の存在
←ただし、余暇自体も生活の一形態
c.f. 神話 → 半神の物語 → 人間の物語へ(文学)


そもそも文学自体が近代的な産物だもんなぁ。
神話の系譜としては御伽草子やなんかも理解できるんだけど。
どーーしても私の理解に苦しむのは源氏物語です。あれは何なんだろう。
あれがあるからみんな色恋はいつの時代も共通だ、なんて言うんだよねー。
しかし、まるで個人が存在するみたいじゃないか、源氏物語なんて。
不義の子の設定だなんて、まるで近代小説のようじゃないか。
あれか?この島国には「絶対神」がいなかったから、そもそも近代的概念ではくくれないのか?
じゃぁ、各地の多神教地域には「個人」はいたのかしら。
あー、でもヨーロッパの神話の神々も「個性的」だもんなぁ。あれ?なんか勉強不足を露呈してきた。
それとも庶民の話?権力階級は昔から個人だったとか?
・・・誰か文化人類学に詳しいひと、いたら
わたしに「多神教地域」「個人の発見」「文学の定義」について材料をください(笑。

6.のび太「ドラえもん!人生とは何のためにあるの?」

人は本来意味がないはずの人生に意味づけをしてきた
← 生きることは死に一歩ずつ近づくためである、というのでは“寂しい”から(?)
→ “生の充実感”を見つけ、自分なりに自分の人生に意味づけをすることで虚無から逃れられる

これ、どう見ても現代の宗教だよなぁ・・・。

7.のび太「ドラえもん!どうして女性天皇は容認されないの?」

歴史に対する冒涜とかいって、神話のつながりから持ち出してくるあたり、どんだけだよって思う。
都合のいい時だけ神話を持ち出してくる方が神々と古代人に失礼だ。
しかし、夫婦別姓が実現されない現状の日本において、確かに皇族以外の男性が愛子内親王と結婚した場合の「家」の問題は根深いというのは事実だね。
しかし、そこで「だから愛子内親王は結婚できない」→それはかわいそうじゃないか!っていう理屈を持ち出してくるのは明らかに屁理屈だけどね。*5
かわいそうだと思うのなら解放してあげるのも手だと思うぞw 王室ほど政治制度に利用されている個人(個人ですらない、公人)もいないと思う。


あと、どうして「第二の“織田信長”」が出てくるのかわからない。
信長はそんなことしなかったじゃないか。
天皇家の権威なんか無意味。かれは自らが王だったから。
藤原道長の間違いじゃないのかな?


それから、後半に「大逆罪」って出てくるけど、これは1947年に既に廃止されています。
詳細はWikipedia参照


とりあえず、推古天皇もいたんだし天照大御神も女性だしいいじゃん、みたいな神学論争にもちこむと果てしなくメンドくさいってことだけは理解した。
そもそも古事記解釈に女性天皇を肯定されたり否定されたからって何なんだ?
そんなことに現代の象徴天皇の行く末の意義を求めるなよ・・・。
もっと自分の時代に主体的になろうよ君たち・・・。
古事記は古代人の神話であって、私たちの神話ではないよ。
明治に改訂が加えられた古事記神話が大東亜帝国においては神話として引用されたから、それをまだ引きずっているひとがいるんだと思うんだけどね。
そういう意味では、みんなもう少し宗教や政治や神話の「構造」を知った方が良いと思う。ニーチェまでとは言わないからさ!


話の流れ的にはこれが一番過激でカオスで吹いたww
>>1が単純な皇国史観の持ち主ではないということはよくわかったww

8.のび太「ドラえもん!どうして中国は日本に尊大な態度をとるの?」

言ってみれば、ジャパニーズにも古代史やる時に「中国からはいろんな文化を教えてもらって・・・」みたいなこと言う先生とかいるよね。
でも確かに、文化が接触すれば交流する。それは当たり前といえば当たり前で、特に恩義に感じることでもないよな。
そして、自らそうやって「だから中国には感謝しなきゃ!」みたいに話を小さくする人がいるから、極端な人が「自虐史観」という視点に自信を深めちゃうんだよ。
どっちも極端だけど、ヒダリ的なものは意外に知らないとこまで根付いてるから、ミギの人は過激化せざるを得ないんだろうなぁ。


しかし中華思想に対してボロクソ言い過ぎww
それも一つの文化、とはならない訳だ?w

9.のび太「ドラえもん!地政学ってどうゆう学問なの?」

>>欧米の地理に対する理解は、そこに人間の心理が絡んでくるという理解なんだ。つまり「人間の主観の働きが介在している(ジオグラフィー)」という意味なんだ。だから地理(人間心理)と政治(人間心理)が結びついた地政学は同じく人間心理を扱っていると言える。


1648年ウェストファリア条約 = 政教分離
→ 宗教に頼らない政治戦略立案の必要性*6


>>やがて地政学は、国家は有機体であり拡大するものであるという説に地理を結びつけた「地政学の父」ラッツェルによって帝国主義として歴史を歩むことになる。


・現在の例 → 「環境問題を国家利益に置いた環境地政学
やっぱりか。そんなんあるんや。


>>このように地政学は如何にして国家利益を導くかという政治に密接した学問なんだよ。だから大切なのはその国家李利益が果たして良い手段なのか否かを検証していかなければいけないんだ。
>>健全な国家利益か……


この問い、深いのにな。
国家利益と、健全とは何かについてもうちょい突っ込んでほしかったw

10.のび太「ドラえもん!どうして日本の仏教は本来の仏教とは違うの?」

仏教の目的=輪廻転生を外れること=悟り、解脱
悟りを得るための方法論 ← 戒律(悟りを得るための行動規律)


仏教伝来 ≠ 戒律伝来
← 鑑真は日本に戒律を伝えようと必死になって来航した


最澄(天台宗)
戒律 → 円戒「守るべきは内面の信仰」


天台宗で学んだ僧たちの中から、続々と鎌倉新仏教が誕生
←戒律派の復興の動き(律宗禅宗など)


ドラえもん私見
“日本三大宗教のうち、仏教とキリスト教は根付いたがイスラム教は根付かなかった”
*7
イスラム教 → 仏教以上の厳格な戒律宗
仏教 → 戒律宗教だが日本では戒律は崩壊
キリスト教 → 戒律宗教であるユダヤ教の戒律部分を否定したことで成立!


日本の仏教は世界ではもはや「仏教」とみなされていない 〜 「日本人仏教」
*8
日本の仏教はすでに民族宗教の部類である、と言えないこともない


民族宗教!!
そ の 発 想 は な か っ た わ
えーなんでこう、エスニシティ意識が強化されていくかなぁ。


後半のカオス物語としてはこれに一番笑いました。

11.のび太ドラえもん!どうしてキリスト教世界宗教になれたの?」

ってのがあったらしいけど、途中で荒れちゃったらしいです(働くモノニュース:人生VIP職人ブログwww)
残念ーみたかったなぁ。
>>1はそもそもの社会情勢だの歴史の流れだのを一々追っていくことをせず、本質だけをずばっと提示するから、どう解説するか期待だったのに。

12.のび太「ドラえもん!どうしてイスラム教は西洋に敵視されるの?」

>>「イエスの認識」という問題があるからなんだ。これはどうゆうことかと言うと、キリスト教では神の言葉を伝えていたナザレのイエスがいつの間にか神になってしまったんだ。
>>確かイエスは人であり、精霊でもあり、神でもあるとする三位一体説のことだよね…


そういう処理の仕方があるんだね。
まぁ、わざわざ解説するために文章を練ったというよりは、日ごろから物事の認識がこんな感じなんだろうけど。




後半から眠くなってきたので引用多いw
てか、レジュメ作成の末に私の一番理解しやすい形態は「→(因果関係)」「⇒(結論)」「⇔(対立)」「←(理由)」っていうのがだんだんわかってきた。
教育実習ではくれぐれも多用しないように気をつけよう。
これは私にとってわかりやすい暗号(ツール)であって、誰もに使えると思ったら間違う。

*1:※使用者の意識も含めた用語として使用。隠語としての意図はありますが、差別を助長する意図はありません

*2:「愚者は体験に学び、賢者は歴史に学ぶ」って奴がいるけど、私はあれうそだと思う。私に言わせると、「視野が狭い奴は自己の体験にこだわり、ずる賢い奴は歴史を利用して自己を正当化し補強する」、かな。

*3:それを作るのは思想家だ。

*4:そういう意味では、日本という国はアメリカよりもはるかに若い

*5:そもそも結婚できないことが不幸とはかぎらないし、そもそも天皇家に生まれたこと自体がそういう制限を受ける家柄なわけで、結婚できないことだけに“かわいそう”を適用するのはおかしい

*6:これまでは軸が宗教に拠っていた、と言っても17世紀には既にだいぶ解体は進んでいたと思うけど

*7:まぁ現在のこの日本という地域にキリスト教が根付いたかはかなり怪しいものがあるけど、江戸時代の切支丹の隆盛をみると、文化的にかなり根を張った時期があるのは事実。じゃぁどうして今は0.3%しかクリスチャンいないんだろう?明治政府の教育の問題?文化的伝播の問題?それならイスラム教も一緒じゃないの?

*8:うちらがチベット仏教、って言ったりするのと同じノリかな?